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書評 自分の時間を取り戻そう

ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」を読んだ。

 

自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方

自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方

 

 

本書のメインテーマは、「生産性」だ。

ここでの生産性とは、貴重な資源である「時間」と「お金」を、自分の幸せのためにどれだけ効率的に使えるか、ということだ。

生産性をあげるというと、もっとのんびり暮らしたい、効率ばかり求めるな、と考える人もいるかと思う。

本書ではまず、なぜ生産性をあげることが全ての人にとって大切であるかが説明される。

生産性の高低と、のんびり、バリバリというのはそもそも全く違う概念である。

全ての人は

①忙しくて生産性が高い人(孫正義など)

②ゆとりがあって生産性が高い人(ちきりんなど)

③忙しくて生産性が低い人(忙しいかつ幸せでない人)

④ゆとりがあって生産性が低い人(ニートなど)

の4種類に分類することができる。

①と②の違いは、目標の高さである。何か大きな野望がある人は①を選ぶし、自分と家族が幸せに暮らせればそれで良い、という人は②を選ぶだろう。このふたつに関しては、一概にどちらがいいとは言えない。

しかし、③④が良い選択でないことは明白だろう。

のんびり暮らしたい!という人が目指すべきは、③でも④でもなく、②である。

③ではのんびりできないし、④では自立した生活ができない。

この本は、③の人に向けた、「①か②のどちらかになろう」という本である。

 

さて、肝心の生産性の上げ方だが、

●欲しいものを明確に理解する

●インプットを減らす

この二つがキーワードになる。

 

自分が欲しいものを明確に理解できていなければ、本当にやるべきことと、やらなくていいことの区別ができない。「みんなやっているから」という理由で、本当は自分にとって重要でないことに時間を取られていては、生産性は上がらない。

例えば、あるワーキングマザーが家事、育児、仕事の全てを完璧にこなそうとして、睡眠時間を削っているとする。これは生産性の低い状態だ。もし彼女が、

「本当に大切なのは仕事でのチャンスを掴むことと、家族と触れ合う時間を確保すること。掃除や買い物を自分ですることは、それらに比べて明らかに価値が低い。」

と考えることができれば、家事を外注する、もっと積極的に通販を利用する、などの発想が生まれてくるだろう。

 

また、インプットを減らすことも、生産性をあげるためには非常に有効な方法だ。

例えばブラジルでは、一定の面積の畑から取れる作物の量を増やす方法が開発されなかったという。土地(=インプット)が大量にあるため、彼らは収穫を増やしたいのなら畑の面積を増やせばいい、と考えたのだ。

けれど、狭い土地で育てた方が必要な労力は少なくすむので、土地あたりの収穫高をあげることは、例え土地が余っていても大いに意味がある。

しかし土地(=インプット)をたくさん持っていた彼らには、その発想は浮かばなかったのだ。

一方、土地(=インプット)の少ない日本では、農地面積あたりの収穫高を上げる方法がどんどん開発されていった。

逆に日本では、人数あたりの収穫高を増やす方法についてはあまり開発されなかった。人間(=インプット)は、子供を増やすことで確保できたからだ。

 

これを仕事に置き換えて考えてみる。仕事においてもっとも重要なインプットは「時間」である。

仕事が終わらない時に、睡眠時間などを削って時間(=インプット)を増やすことで対応しているようでは、いつまでも生産性は上がらない。

逆に、その仕事にかけて良い時間を制限することで、効率を強く意識するようになり、結果として高い生産性が生まれる。

具体的には、先に旅行の予約をしてしまったり、毎週特定の曜日や時間を余裕時間として予め確保しておく、などの方法が考えられる。

また、仕事が終わったとき、もっと時間を短縮する(=インプットを減らす)ことができなかったか、常に考え続けることも、同様に大切である。 

 

かなりざっくりとしたまとめになってしまったが、読んでいてすごく感心させられる本だったので、ぜひ読んでみて欲しい。